事務所通信

2015年4月10日 金曜日

推計課税とは?

お疲れ様です。熊野でございます。

本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第65弾」として、

「推計課税とは?!」

をお送りいたします。


税務調査を受けていると、困った状況になることがあります。調査官に質問されたので、回答しようと思い、明細などの資料を探してみると、その資料が無いような場合です。

 何も悪気があって資料を捨てたわけではないにせよ、資料などがなければ答えようもないわけですし、これでは税務調査自体も進まないわけです。

 さて、このように資料などがないケースでは、税務調査はどうなるのか、ということが問題になります。こういうケースに備えて、法律では「推計課税」という制度があります。

 推計課税とは、資料などがない場合に、何か特定の金額・割合から、まさしく推計で税額を算出する方法のことです。
 そもそも推計課税とは、
・悪意があって資料等を破棄した者にも課税できるようにするため
・悪意はないにしろ、資料等がない場合に正しい税額を算出するため
に設けられている制度だといえます。

 しかし、税務調査の現場では、調査官が無理でも推計課税を使って課税しようとするケースがあるので注意が必要です。

 たとえば、飲食店を3店舗営む会社で考えてみましょう。飲食店の場合、業種が異ならない限り、店舗ごとの粗利率(粗利益÷売上)が大きく異なることはありません。しかし現実には、顧客層が違う、割引券を発行しているなど、店舗ごとの粗利率がかい離することもあるわけです。

調査官は「店舗ごとの粗利率が大きく異なることはない」という点に着目し、「なぜこれほど店舗ごとに粗利率が違うのですか?」「粗利率が低い店舗で売上を除外しているのではないですか?」「原価を水増ししているのではないですか?」と疑ってくるわけです。

しかしこの指摘に、調査官も何か決定的な証拠があるわけではなく、あくまでも数字と理論上から疑っているにすぎません。
このようなケースで、調査官が「粗利率が店舗ごとにこれほど違うのはおかしい!適正な粗利率を算出して、全店舗それに合わせてください」などと、推計課税を強要してくることもあるのです。

推計課税はどんな場合でも適用できるものではなく、要件が3つあります。すべての要件が揃っていなければ、推計課税はできないのです。

①内国法人(居住者)が対象であること ②更正(決定)する場合にだけできる
③青色申告者にはできない
ですから、青色申告をしている会社が、調査官の指摘に従って、推計課税を根拠とした修正申告を提出する必要などないのです。

この要件はぜひ知っておいてもらいたいものです。


投稿者 熊野雅樹税理士事務所


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