事務所通信

2015年5月19日 火曜日

無予告調査の要件②

お疲れ様です。熊野でございます。

本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第70弾」として、

「無予告調査の要件②」

をお送りいたします。


前回からの続きで、無予告調査について書きたいと思います。

 税金を定める法律である「税法」には数多くの規定がありますが、解釈による違いというものが発生します。つまり、法律とはある程度ざっくり書かれているものですから、読む人によって解釈に違いが生じるということがあるわけです。そこで税法の解釈を統一するために「通達」というものが存在します。

 前置きが長くなりましたが、無予告調査を規定する法律(国税通則法第74条の10)に関する通達は下記のようなものがあります(すべて載せると冗長になりますので一部だけ抜粋しています)。


(「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ」があると認める場合の例示)
4-9 法第74条の10に規定する「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ」があると認める場合とは、例えば、次の(1)から(5)までに掲げるような場合をいう。
(1) 事前通知をすることにより、納税義務者において、法第127条第2号又は同条第3号に掲げる行為を行うことを助長することが合理的に推認される場合。
(2) 事前通知をすることにより、納税義務者において、調査の実施を困難にすることを意図し逃亡することが合理的に推認される場合。
(3) 事前通知をすることにより、納税義務者において、調査に必要な帳簿書類その他の物件を破棄し、移動し、隠匿し、改ざんし、変造し、又は偽造することが合理的に推認される場合。
(4) 事前通知をすることにより、納税義務者において、過去の違法又は不当な行為の発見を困難にする目的で、質問検査等を行う時点において適正な記帳又は書類の適正な記載と保存を行っている状態を作出することが合理的に推認される場合。
(5) 事前通知をすることにより、納税義務者において、その使用人その他の従業者若しくは取引先又はその他の第三者に対し、上記(1)から(4)までに掲げる行為を行うよう、又は調査への協力を控えるよう要請する(強要し、買収し又は共謀することを含む。)ことが合理的に推認される場合。

 いかがでしょうか?去年までの税務調査では、「なぜこの会社が無予告調査なの?」と思われる事案があったのですが、昨年から上記のとおり、かなり悪いことをしている、もしくはするだろうという見込みがなければ無予告調査は行わないことになったのです。

 ちなみに通達は調査官が守らなければならない規則ですから、無予告調査に入られた場合は通達に合致しているか、調査官に問いただすことができます。

投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL

2015年5月14日 木曜日

無予告調査の要件①

お疲れ様です。熊野でございます。

本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第69弾」として、

「無予告調査の要件①」

をお送りいたします。


税務調査は大きく分けると2種類あります。1つは、通常行われている税務調査で、事前に「調査に行きますよ」と予告されるものです。そしてもう1つが「無予告調査」と呼ばれるもので、予告なくいきなり税務署がやってきます。

 無予告調査については、通常飲食店などの「現金商売」の方々に行われるのですが、実はそうとも限らないのが難しいところです。

 国税庁が一昨年発表している資料によると、法人の1割、個人事業主の2割が無予告調査となっていますから、確率的には高いものであることがわかります。

 さて、この無予告調査ですが、一昨年までは法的な要件はありませんでした。つまり、税務署の勝手な判断で、事前に予告するかしないかを勝手に決めていたというわけです。

 しかし、昨年から法改正が行われ、無予告調査は法定化されることになりました。まず法律を見ておきましょう。

国税通則法第74条の10(事前通知を要しない場合)
前条第1項の規定にかかわらず、税務署長等が調査の相手方である同条第3項第一号に掲げる納税義務者の申告若しくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等若しくは税関が保有する情報に鑑み、違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、同条第1項の規定による通知を要しない。


 ここにいう「前条」とは税務調査の事前通知をすることを明記した法律規定になります。つまり、法律では「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には」、事前の予告なく税務調査を行うと規定したわけです。


 これはかなり大きな改正といえます。なぜなら、今までは現金商売などではなくても、ある日突然税務署の調査官がやってきて、「今から税務調査をします」と言われるわけです。これでは税務調査に備えるなどできませんし、何よりその日は仕事にならないわけです。

 では具体的に、無予告調査をする要件というのはどのようなものなのでしょうか?法律の文章だけ読んでもよくわかりませんので、次回詳細を解説したいと思います。

投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL

2015年5月 7日 木曜日

加算税がかからない②

お疲れ様です。熊野でございます。

本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第68弾」として、

「加算税がかからない②」

をお送りいたします。


前回から引続き、修正申告をしても加算税が課されないケースを説明していきましょう。
今年以降に行われる税務調査から法改正があり、税務調査の手続きが大きく変わるにことになりました。
これに付随して制定されたルールがいくつかあるのですが、一般の方向けに解説しているものが、国税庁のホームページで公表されています。

「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/pdf/02.pdf

 この中に、下記の質疑応答事例があります。

【問】
税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受けましたが、これは調査なのでしょうか。

【答】
調査は、特定の納税者の方の課税標準等又は税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものですが、税務当局では、税務調査の他に、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者の方に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合があります。このような行政指導に基づき、納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税は納付していただく場合がありますが、過少申告加算税は賦課されません(当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%賦課されます。)。

なお、税務署の担当者は、納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています。


 このように、税務署からの誤りの指摘があって、修正申告することになったとして、加算税は課されないというわけです。

 ここで大切なのは、「税務署の担当者は、納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています。」という部分です。

 税務署から連絡があった場合、「この連絡は調査なのですか?それとも調査じゃない(行政指導)なのですか?」と確認しておくことが大事なのです。

投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL

2015年5月 2日 土曜日

加算税がかからない①

お疲れ様です。熊野でございます。

本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第67弾」として、

「加算税がかからない①」

をお送りいたします。

税務署も税務調査だけを行っているわけではありませんから、「税務調査」と一言でいっても、実はどこまでが税務調査なのかわからないケースもあります。

例えば、税務署からの問合せの電話や封書が届く場合。提出した税務申告書の内容について、不明点等があれば税務署から連絡が入ることもあるのですが、ただの問合せであれば「税務調査ではない」わけです。

どこからが税務調査で、どこまでが税務調査ではないのか、これをきちんと区分する必要性というがあります。なぜなら、過少申告加算税(10%)が課されるのか、課されないのかは、税務調査が行われたかどうかで判断するからなのです
わかりやすく説明しましょう。
税務署に提出した税務申告書に誤りがあり、結果として追加で税金を納めなければならない場合、「修正申告」をすることになります。
この修正申告なのですが、2つのケースがあります。

①自主修正申告
自ら誤りに気付き、自ら修正申告をした場合は、過少申告加算税(10%)は課されません(遅れて税金を納付したわけですから、利息分である延滞税はかかります)。

②税務調査による修正申告
税務調査が行われ、調査官の指摘に基づいて、その内容に納得して提出した修正申告には、過少申告加算税(10%)が課されます。

 つまり、自ら誤りに気付いて、自ら税金が足りなかったことを申請する人には、罰則的な規定である加算税は課さない、という規定になっているのです

 では話を戻すと、税務署からの問合せは、あくまで問合せなのであって、税務調査ではありませんから、結果として税務署の指摘通り誤りがあり、修正申告書の提出となっても、加算税は課されないというわけです。

なお、税務調査は事前の予告があるのが原則ですから、事前の予告がない税務署からの連絡は、税務調査ではなく、ただの問合せと考えて間違いありません。

 税務署からの問合せで修正申告しても、加算税が課される間違った処分もあり得ますので、この点ぜひ注意してください。

投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL


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