事務所通信
2015年3月19日 木曜日
理由の附記!!
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第62弾」として、
「理由の附記!!」
をお送りいたします。
法律改正があり、今年(平成25年)以後に行われる税務調査から手続きに関する法規則が大きく変わりました。そのうちの1つが「理由の附記」と呼ばれるものです。
この聞きなれない制度が大きく変わったことによる、税務調査への影響は大きいので、解説していきましょう。
税務調査を受けた場合、結果として3つのパターンが存在します。今までは法定化されていなかったのですが、税務調査に関する改正で3つが法定化されました。
①申告是認(しんこくぜにん)
「税務調査を行いましたが、申告した内容に誤りがありませんでした。」という場合です。経営者にとってみればもっとも嬉しい結果です。
②修正申告
税務調査で誤りが見つかった場合、修正申告になることの方が多くあります。「修正申告=誤りの指摘に納得して提出するもの」です。
③更正
更正とは税務調査の結果、誤りが見つかり、「こう直しますよ、追徴税額はこれだけになります」という税務署からの処分です。修正申告と違うのは、会社(経営者)が納得していないということです。
さて、税務調査で更正(処分)となる場合、税務署(調査官)はその処分をする理由や追徴税額の金額を説明しなければならなくなりました。つまり、説明もなく処分はできなくなったのです。これを「理由の附記」と呼んでいます。
実は今でも同じ制度はありました。しかし去年までは、青色申告者に対する更正だけに理由の附記がなされていました。つまり、白色申告であるとか、青色申告制度がない税目、たとえば消費税や相続税には、更正という処分をされても、理由の附記がなかったのです。
法改正により、今後は納税者にとって「不利益な処分にはすべて理由の附記が必要」とされました。これにより、税務署(調査官)も更正する場合には、処分の理由を明確にする必要があるため、処分に対して慎重にならざるをえなくなったのです。これにより、税務署からの安易な処分は、今後急激に減るものと予想できます。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月19日 木曜日
小規模事業者持続化補助金
事務所チラシの制作とかの広告を考えていたら、
こんなものがあるのを忘れておりました。
小規模事業者持続化補助金
やってみようかなと思います。
補助金の内容は下記の通りです。
対象者
卸売業・小売業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・常時使用する従業員の数 5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業以外)・・・常時使用する従業員の数 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業・・・・常時使用する従業員の数 20人以下
製造業その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・常時使用する従業員の数 20人以下
対象となる事業
経営計画に基づき、商工会議所の支援を受けながら実施する販路開拓等のための事業
例
(1)広告宣伝(広告費)
・新たな顧客層の取り込みを狙い、チラシを作成・配布
(2)集客力を高めるための店舗改装(外注費)
・幅広い年代層の集客を図るための店舗のユニバーサルデザイン化
(3)展示会・商談会への出展(展示会等出展費)
・新たな販路を求め、国内外の展示会へ出展
(4)商品パッケージや包装紙・ラッピングの変更(開発費)
・新たな市場を狙って商品パッケージのデザインを一新
対象経費
1.機械装置等費、2.広報費、3.展示会等出展費、4.旅費、5.開発費、6.資料購入費、7.雑役務費、8.借料、9.専門家謝金、10.専門家旅費、11.車両購入費(買い物弱者対策の場合のみ)、12.委託費、13.外注費
補助率・補助額
・補助率 補助対象経費の2/3以内
・補助金 上限50万円
(1)①雇用を増加させる取り組み
②従業員の処遇改善を行っている事業者
③買い物弱者対策に取り組む事業者
については補助上限額が100万円
(2)複数の小規模事業者が連携して取り組む共同事業の場合は、
補助上限額が「1事業者あたりの補助上限額」×連携小規模事業者数の金額となります。
(ただし、500万円を上限とします。)
(3)上記(1)と(2)の併用は可能です。(その場合でも補助上限額は500万円を上限とします)
<第1次受付>
日本商工会議所(補助金事務局)への申請書類一式の送付締切
平成27年3月27日(金)[締切日当日消印有効]
<第2次受付>
日本商工会議所(補助金事務局)への申請書類一式の送付締切
平成27年5月27日(水)[締切日当日消印有効]
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月18日 水曜日
交際費の基準!!
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第61弾」として、
「交際費の基準!!」
をお送りいたします。
前回は「推計課税」について書きましたが、その際に書きました「交際費が同業他社と比べて多額なので、半分にします。」という否認指摘、これはどうなのでしょうか、というのが今回のお題です。
つまり、そもそも(接待)交際費は、同業他社と比べて多額なのであれば、本当に経費(損金)にならないのか、というポイントです。
法律では、法人における交際費をこのように定めています。
租税特別措置法第61条の4(交際費等の損金不算入)
3 第1項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。
つまり交際費とは、「法人が支出する経費」のうち、「接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」を指します。
ですから、個人的な支出は経費(損金)にならないのは当然として、法人が支出するものであって、それが取引先などを接待するものであれば、経費になるというわけです(ただし、損金になるための上限金額は設定されています)。
ここから明らかであるとおり、交際費は何も同業他社と比べて高いからダメというわけではないのです。
では、なぜ調査官が同業他社と比べたがるかというと、役員報酬や役員退職金と話がごっちゃになっているからです。
役員報酬や役員退職金は、「法律的に」同業他社と比べて異常に高い場合には、損金にならないという規定があります。
法人税法施行令第70条(過大な役員給与の額)
内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与の額が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額
交際費については同業他社と比べて多額であっても何ら問題ありませんから、調査官の誤った指摘にはきちんと反論しましょう。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月17日 火曜日
〇〇%削ります!!
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第60弾」として、
「〇〇%削ります!!」
をお送りいたします。
税務調査で多い指摘が、「交際費が同業他社と比べて多額なので、半分にします。」「交際費に私的な支出が入っているので、30%削ります。」といったものです。
本来税務調査とは、「この支出は社長個人の支出ですから、経費(損金)になりません。」など、個別に「これはいい」「これはダメ」と言われるものです。
しかし、個別に指摘するのが面倒なのか、調査官はよく「〇〇%は経費になりません。」と指摘してくるものです。
さて、この「〇〇%は経費になりません。」は正しいのでしょうか。
結論を先に書いておくと、適当な割合で否認することは、法律上何の根拠もありませんから、もし調査官にこのような否認指摘を受けても、受け入れる必要はまったくありません。
もちろん、このような指摘割合に根拠があるとか、もしくは受け入れた方が得などといった場合は別なのですが・・・
個別に「これはダメ」などと否認することを「実額課税」といい、一方「〇〇%は経費になりません。」などと否認することを「推計課税」と呼んでいます。
法人税法第131条(推計による更正又は決定)
税務署長は、内国法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合には、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合を除き、その内国法人の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその内国法人に係る法人税の課税標準を推計して、これをすることができる。
法律では推計課税を認めていますが、これが認められているのは、「帳簿書類がない」「税務調査を拒否する」など、実額による課税ができない場合に、推計課税する必要があるからなのです。
つまり、推計課税は税務署がいつでもできるものではなく、実額課税ができない場合の措置といえるのです。
ですから、税務調査を受け入れ、帳簿書類等を提示しているにもかかわらず、推計課税で否認指摘してくる調査官の主張を、受け入れる必要などまったくないのです。この点はぜひ知っておいていただきたいポイントです。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月16日 月曜日
春の税務調査対応!!
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第59弾」として、
「春の税務調査対応!!」
をお送りいたします。
前回は、税務調査も時期によって特徴が違うことを、税務署的な視点から書きましたが、それらを踏まえたうえで、わかることをさらに考察してみたいと思います。
税務署の職員は7月上旬に転勤(異動)があり、誰が転勤になるのかも知らされていません。
またここが大事な点なのですが、税務調査を担当している調査官は、6月までで税務調査を締めなければならないのです。
なぜなら、税務署の1年は6月に終了するからです。
ちょっとわかりにくいので、もう少し説明を加えましょう。
11月に税務調査があったとします。調査の過程でいろいろな不明点なり、税務署と納税者(顧問税理士)に見解の相違があったとします。
そうなると税務調査は長引いていくのですが、年末までに終わらなかった調査は、(調査官からすると不本意かもしれませんが)年越しすることになります。
では、同じケースが春だったらどうなるのでしょうか。
5月に税務調査があったとします。同じように長引きます。しかし、かなり特殊な事情がある場合を除いて、7月まで延びる税務調査はありません。これは、
・税務署の1年の締めが6月末であること
・担当調査官が転勤になるかもしれないこと
・転勤にならなくても担当から外れること
の3つの事情に起因しています。
さらに、です。税務調査を担当している調査官には引継ぎがありません。
普通の会社であれば、転勤・異動になれば仕事の引継ぎを行うのですが、税務調査は俗人的な判断をともなうことが多く、また実施している件数が多いため、本来は6月から7月の年度をまたぐ調査であったとして、引継ぎを行うことはありません。
ここまで書くと、気付く方も多いのですが、実は春の税務調査の方が対応は楽なのです。
秋の税務調査と違い、春の税務調査が延々と長引くことはありません。しかも、6月までに税務調査を終わらせたいのは、こちら(納税者)側の都合ではなく、調査官側の都合なのです。
時期によって税務調査の交渉のやり方は変わります。6月まで延びた税務調査であれば圧倒的に有利になるといえるでしょう。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月15日 日曜日
春の税務調査開始!!
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第58弾」として、
「春の税務調査開始」
をお送りいたします。
春の税務調査の季節がやってきました。税務調査というのは、1年の中でも大きく2つの時期に分かれています。少しややこしい部分もあるので、税務署的な視点から解説しておきましょう。
国税という組織は、1年の始まりを7月としています。ちょっと変わっているので、一般的な考え方からすると、かなり違和感があるところです。
国税は1年を上期と下期に分けていますが、7月から始まりますから、毎年
7~12月:上期
1月~6月:下期
としています。ということは、春のこの時期は下期ですね。
下期は少し特別で、個人の確定申告があります。確定申告は2~3月中旬までなのですが、この時期は税務調査に立会いする税理士も忙しく、また税務署内も確定申告の対応に忙しいという事情もあって、特別な事情などがない限り、確定申告時期に調査が行われることはありません。
こういう事情を考えると、大きく税務調査は「春の時期」と「秋の時期」に分けることができるのです(真冬は調査がないという感覚です)。
ここにはさらに税務署内の事情が絡んできます。税務署の職員は、3年に1回程度の頻度で転勤(他の税務署に異動)するのですが、この転勤時期は7月上旬です。しかも、転勤になる調査官は、直前まで転勤になるかどうかを明示されていないのです。
ということは、春の調査と秋の調査には次のような違いがあるといえます。
【春の税務調査】
・時期が短い
・調査件数が少ない
【秋の税務調査】
・時期が長い
・調査件数が多い
春と秋で、税務調査にもこれだけの違いが出てくるのです。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月13日 金曜日
調査日数を減らす!!
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第56弾」として、
「調査日数を減らす」
をお送りいたします。
税務署の調査官は、毎日のように税務調査をするのが仕事です。調査官は公務員ですから、一般企業よりもきつく管理されていることは間違いありません。
調査官には税務調査のノルマが与えられています。通常「調査官のノルマ」と聞くと、追徴税額のノルマだと思われがちですが、違います。調査官のノルマは「税務調査の件数」なのです。
つまり、これだけの期間で○○件の税務調査をしなければならない、と決められているのです。
調査官には税務調査の件数ノルマが課せられているということは、調査官側の心理としては、税務調査1件1件に時間をかけることができないということでもあります。
一方で税務調査というのは、1件1件にかかる時間はバラバラなのが現実です。時間がかかる調査もあれば、あっさり終わる調査もあるのです。これは、調査官が調べたいことが不明であればあるほど、結果として長引くことになりますし、当然脱税などをしている納税者に対する調査は数ヶ月かかることもあるのです。
こう考えると調査官も、事前には1件の税務調査でどれだけ時間がかかるかわらかないですし、少なくとも調査をする前は「件数のノルマをこなすためには、時間がかからない方が嬉しいな」と考えているのが普通なのです。
ここまでの前提を踏まえると、税務調査の対応も変わってきます。
まず、税務調査は通常事前に連絡があるのですが、この段階で調査の日数が長いと感じた場合の対応です。
例えば、以前は2日の税務調査だったのに、事前の予約段階で3日だと言われた場合、「前回は2日でしたよ。その頃から会社の規模等も特段大きくなってはいません。とりあえずは2日でいいではないですか?」と切り返してみることです。
このようにこちらから主張してはならない、と思い込んでいる経営者の方も多いのですが、実際のところ調査官も税務調査の日数は少ない方がいいのですから、思惑さえ合致すれば、「では2日にしましょう」と合意できるケースが多いのです。
また、税務調査を嫌う気持ちはわかりますが、税務調査が長引くことの方が嫌かと思います。税務調査は時間的負担とともに、精神的負担もかかるものです。
税務調査を嫌う気持ちを抑えて、当初から調査官に誠実に対応することで、税務調査が早く終わる可能性が高くなります。これは何も媚びへつらう、ということではありません。丁寧に対応すれば、結果的に調査が早く終わるのです。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月11日 水曜日
長引く税務調査の対応方法!!
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第57弾」として、
「長引く税務調査の対応方法」
をお送りいたします。
たまになのですが、異常に長引く税務調査があります。
通常、税務調査というのは、
・2~3日間の日程(会社の規模によって変わります)
・その中で不明点等があれば、提出する必要がある
・最終的な可否を別途協議する日程(来社か税務署に行く場合もあり)
・修正申告書の提出など
の流れになります。ですから、当初2~3日だけ見越しておけば、そのあとは流れによって変わるのですが、それでも1~2日で終わることが多いのです。
しかしケースによっては、2~3ヶ月かかることもあるので、経営者としてはたまったものではありません。
確かに、担当の調査官も1件の税務調査だけを担当しているわけではなく、さらに上司からの指示などもあることは容易に理解できます。しかし、たいした問題点がなくても2~3ヶ月かかる税務調査があるのですから、不思議といえば不思議です。
調査官の事情はともかくとして、税務調査を受ける方としては、期間を不当に延ばされていいことなど1つもないのですから、特殊な事情がない場合は、調査官に電話連絡等をして「早く終わらせて欲しい」旨の主張をすることが大事なのです。
法律上は「○○日以内に税務調査を終わらせなければならない」という法律はありません。しかし、税務調査が長引くことで、会社・経営者に本業への支障があることは確実です。
そこで、この法律があることは知っておいた方がいいでしょう。
国家賠償法第1条
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
この法律にある「他人に損害を加えたとき」には、税務調査が長引くことにより、事業に損害が発生したり、経営者に精神的被害があることまでを含んでいます。
法律を根拠に「不当性」を主張すれば、長引く税務調査を終わらせることも可能なのです。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月11日 水曜日
税務署の組織構造!!
本日は、会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第55弾」として、
「税務署の組織構造」
をお送りいたします。
よくよく考えてみれば、国税は1つの組織であり、会社と同じように組織の理論があります。また調査官も公務員であって、1人のサラリーマンなのです。こう考えると、税務調査の対応も変わってくるというのが事実です。
税務署の組織構造は、権限が上からこのような順番になっています。
①税務署長
②副署長
③統括官
④調査官
これを知っているだけでも、たとえば税務調査で担当調査官とモメた場合、末端の人間である調査官とやり取りするのではなく、調査官の上司である統括官と交渉した方が断然効果があることがわかります。
これは一般の企業でも同じでしょう。担当者と話してもビジネスの話がうまく進まない場合でも、決裁者と話せば急に話が進んだりします。
国税は国の組織です。一般企業よりもヒエラルキーが明確で、権限と職種・職格が定められています。
また法律では下記のように定められていることは知っておいた方がいいでしょう。
国家公務員法98条(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)
職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
国家公務員法第105条(職員の職務の範囲)
職員は、職員としては、法律、命令、規則又は指令による職務を担当する以外の義務を負わない。
この法律からわかるとおり、公務員である調査官は、法律を守らなければならないのと同様に、上司の命令が絶対であるというわけなのです。この法律がある以上、いかに担当調査官と税務調査でモメることに意味がないかということがおわかりいただけると思います。
調査官も公務員であってヒエラルキーがあることを認識するだけで税務調査の対応は変わるのです。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月11日 水曜日
一罰百戒!!
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第54弾」として、
「一罰百戒」
をお送りいたします。
経営者にとって税務調査はいい気分がするものではないと思うのですが、税務調査を受けたことがある人の多くはこう言います。「調査官というのはなぜあんなに感じが悪いんですか?いくら税務調査といっても、あたかも税金をごまかしているのを前提に来なくてもいいでしょう!」
このような印象は若干人によって感じ方が違います。
調査官も人間ですから、人によって言動も感情も違うわけです。しかし、調査官に対して良い印象を持つ人が少ないのも事実です。
ここで知っていただきたいのは、調査官は基本的に「性悪説」に立って税務調査を行っていますし、それは仕方のないことだとあきらめることが必要です。
この問題を考えてみてください。
100円ずつを持つ5人が1組になり、100円以内で自分の好きな額だけ出資できるとします。
5人の出資合計額は2.5倍に増え、それを全員に均等に振り分けるとします。
さて、あなたはいくら出資しますか?なお出資する金額は100円以内であれば自分で
決めることができ、他の4人と出資金額の相談はできません。また他の人に対して意見
(例えば「~円出すように」など)をすることはできません。
この問題は経済学でいう「フリーライダー(ただ乗り)」を表した問題です。答えは「0円」です。自分がお金を出さなくても、誰かがお金を出してくれればそれだけで分け前があるのですから。
この問題からわかることは、「税金を払わなくても公共サービスを受けることができる」と考えるのが普通ということです。このように、納税意識は基本的に低いことを前提に税務調査が行われていますから、調査官は性悪説に立っていると考えるのが正解なのです。
この延長線上にある考え方が「一罰百戒」です。中小企業ではあり得ませんが、なぜか有名企業・有名人に税務調査が入り、その結果修正申告でもその内容(追徴税額など)が報道されることがあります。
これは国税が情報をリークしているからと考えられるのですが、国税側の考えは「一罰百戒」。つまり、「悪いことをすれば税務署はわかるんですよ」という戒めを多くの人に与えることを目的にしています。
調査官や税務署の対応が悪いと言ってあつくならず、税務調査は常に冷静に対応すべきなのです。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月11日 水曜日
税務調査の事前通知!!
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第53弾」として、
「税務調査の事前通知!!」
をお送りいたします。
2013年から行われる税務調査から、手続きが大きく変わったことはすでにお伝えしているとおりです。
その中でも経営者の方々に直接的に影響があるのは、税務調査の事前通知のやり方・内容が変わった点です。
今まで(2012年まで)は、税務調査がある場合、税務署から税理士か法人(個人事業主)に事前に連絡がありました。税理士への連絡が先か、法人への連絡が先かは、地域によって税務署の運用が違っていたのが実情なのですが、これが全国統一されることになりました。
原則は、法人(個人事業主)から先に連絡がいきます。
(ただし、無予告調査といって、事前連絡がない税務調査もあり得ます)
税務署から税務調査の事前連絡があった場合は、「顧問税理士に任せているので、そちらに連絡してください」と伝えていただければ問題ありません。
しかしこう答えても、調査官の中には「税理士先生の方にはもちろん後ほど連絡させていただきますが、通知しなければならない事項がありますので、少しだけ話を聞いてください」と食い下がる人もいるようです。
このような場合に、「では、経営者として調査官から電話で何を聞いておけばいいんだ?」という部分を解説します。
税務調査の事前連絡の項目ですが、まず法律(国税通則法第74条の9)には、下記7つを調査官が伝えるように規定されています。
一 質問検査等を行う実地の調査(以下この条において単に「調査」という。)を
開始する日時
二 調査を行う場所
三 調査の目的
四 調査の対象となる税目
五 調査の対象となる期間
六 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
七 その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項
また、税務調査の事前連絡において、法人(個人事業主)側で何を聞き取らなければならないか、というポイントです。
上記に挙げた7項目のうち、前半の6項目は読んで字のごとく、日時や場所等を聞くことになります。
ここで1点大事なのが「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」という項目です。
これは税務調査でどんな書類を準備しておけばいいか、というものです。
多くの場合、「(総勘定)元帳、請求書、領収書などですね」と言われるはずですが、裏を返せば「準備しておいてほしい」と言われたものだけ準備すればいい、と解釈できます。
この点をきちんと聞いておくと、余計なものを用意する手間は省けます。
また、7つめの項目にある「その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項」ですが、それを定めたものが別の法律(国税通則法施行令第30条の4)に規定されています。
1.調査の相手方である法第74条の9第3項第1号に掲げる納税義務者の氏名及び住所又は居所
2.調査を行う当該職員の氏名及び所属官署
3.法第74条の9第1項第1号又は第2号に掲げる事項の変更に関する事項
4.法第74条の9第4項の規定の趣旨
この点、法律の規定はわかりにくいので解説を加えておくと、
1:みなさんの名前と住所を伝えるという当たり前の事項です
2:税務調査を行う調査官の名前を伝えられます
3:一度決めた調査の日時・場所を変更する場合に、変更した後の決め事を伝えます
4:上記のように通知した事項以外におかしな点が出てくれば、再度通知することによって、さらに書類の提示などを求めることができるという内容です
細かい部分になりますが、税務調査の手続きが大きく変わったのと同時に、細かく規定されることになりました。事前通知の項目は多いのですが、調査官が言ったことを漏らさないようメモをとっておくことをおすすめします。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月 9日 月曜日
会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第52弾
本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第52弾」として、
「改正で知っておくべき点④」
をお送りいたします。
税務調査に関するもの以外にも、大きな改正がありました。それは、「更正の請求の期間が5年になった」ことです。
税務調査に直接関係ありませんが、非常に大事なことなので、説明しておきたいと思います。
「更正の請求」とは、提出した税務申告書に間違いがあって、本来より多くの税金を申告・納付している場合に、「納めすぎの税金を還付してください」という手続きをいいます。ちなみにこれとは逆に、本来より少ない税金しか申告・納付していない場合に提出する書類を修正申告といいます。
以前は、「更正の請求」と「修正申告」の年分はこのように決められていました。
更正の請求:1年
修正申告:5年(脱税などの場合は7年)
これはちょっとおかしいですよね。
同じ間違いがあっても、税金が増えるなら5年さかのぼれるのに、税金が減るなら1年しか適用できないわけですから。
この不平等が解消されることになりました。
更正の請求の期間が5年になったわけです。
ただし、更正の請求をするのに、新たな条件が加えられました。
①更正の請求が5年できる年分
更正の請求が1年しかできない、5年できる区分はどこにあるかというと、「平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する」ものです。例えば、3月決算法人であれば、平成24年5月末日(3月末から2ヶ月後)に申告期限がくるものについては、その日から5年以内であれば更正の請求をすることができますが、平成23年5月末日に申告期限があったものについては、1年しか更正の請求ができません。
今後しばらく年数がたてば「平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する」ものばかりになりますので、更正の請求は5年間できると考えて間違いありませんが、現時点では、1年しかできないのか、5年できるのか混在しているので注意が必要です。
②証明する書類の提出
今後は、「更正の請求」をする理由の基礎となる事実を証明する書類を添付しなければなりません。
③罰則
わざとウソの更正の請求をして、税金の還付を受けようとした場合に備えて、新たに罰則ができました。
昔に投稿しようと温めていたものがまだまだありました。
古い内容にはなってきますが、覚えておいて損はない内容です。
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL
2015年3月 3日 火曜日
創業・第二創業促進補助金!!
世間では本日ひな祭りですが、
税理士事務所は繁忙期まっただ中です。
そんななか昨日、
創業・第二創業促進補助金の申込みが開始しましたねぇ!!
内容は下記の通りです。
目的
新たに創業(第二創業を含む)を行う者に対して、その創業等に要する経費の一部を補助することで、新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることを目的とします。
対象者
創業を行う個人、中小企業・小規模事業者 等
※認定支援機関たる金融機関または金融機関と連携した認定支援機関に、事業計画の実効性等が確認されていること。
※平成27年3月2日(平成26年度補正予算創業・第二創業促進補助金の公募開始日)以降に個人開業又は会社・企業組合
・協業組合・特定非営利活動法人の設立を行った者。
※第二創業は、事業承継により後継者が業態展開や新事業・新分野に進出する場合が対象となります。
対象経費
店舗借入費、設備費、人件費、マーケティング調査費、広報費、旅費、謝金等(第二創業で既存事業を廃業する場合は、廃業登記や法手続費、在庫処分費等を含む)
補助金上限額
創業
200万円
第二創業
1,000万円
補助率
3分の2
募集期間
平成27年3月2日(月)~3月31日(火)(電子申請の場合は4月3日(金)
URL
https://www.mirasapo.jp/subsidy/subsidy_01781.html
ご検討されるかたはぜひご相談ください!!
お待ちしております<(_ _)>
投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL