事務所通信

2015年4月13日 月曜日

交際費との区分!!

お疲れ様です。熊野でございます。

本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第66弾」として、

「交際費との区分!!」

をお送りいたします。


「交際費」といえば、お客様や取引先と飲み会で支出した費用(接待交際費)を指すと考えるのが、常識的な考え方だと思います。

 しかし、税金(法人税)の世界でいう「交際費」というのは、かなり違う概念を持っています。

 まず交際費の税務処理を簡単に説明しておくと、原則損金にならないと定められています。ただし、資本金1億円以下の場合は、600万円以下の部分は10%、600万円超の部分のみが損金になりません。また、税制改正後は、800万円以下の部分は全額損金になりますが、800万円超の部分は損金にならないこととなります。


 さて、税金上の交際費の概念なのですが、飲み食いだけではありません。

 例えば、自社の社名を入れたゴルフボールを作成し、取引先に渡した場合、「広告宣伝費」になりますが、取引先の社名を入れたゴルフボールであれば、「交際費」と言われてしまいます。

 この違いは、自社の名前を入れるのは、自社の名前を広めたいという目的なので広告なのですが、相手方の名前を入れるというのは、「相手方の歓心をかうような行為」に該当するため、飲み食いと同じで交際費と判断されるわけです。これは、飲み食いがゴルフボールに形を変えただけだろうという根拠です。

 実は、支出が交際費になるかどうかは非常に微妙な判断をともなう場合が多くあり、税の専門家である我々税理士でも、判断に迷うことが多くあります。

 ただ、経営者として知っておいていただきたいのは、交際費と指摘される可能性のあるケースです。

 注意しておかなければ同じ支出でも、税務調査で交際費と指摘されるだけで、追徴税額が発生してしまうのです。
 交際費と混同しやすい支出は下記のようなものがありますが、全般的に知りたい場合は、国税庁のサイトからこちらをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm

「リベート(売上割戻し)」「情報提供料」「広告宣伝費」「福利厚生費」

 このような支出がある場合は、交際費になる可能性があると考えてください。

また、税務調査でよくモメる交際費との区分に、「情報提供料」があります。簡単にいえば、顧客や案件を紹介してもらい、ビジネスが成立した場合に謝礼(キックバック・リベート)を支払うような場合です。

 このような支出する業種としては、建築業や不動産業・保険代理店業を筆頭に、通常行われている行為といえます。

 では、なぜこのような謝礼(情報提供料)が、交際費と指摘される可能性があるのでしょうか?
 前回書きましたが、交際費は税制上どのようなものかというと、「相手方の歓心をかうような行為」、つまり相手方に対してお金を使うことで、相手が自分のことを気に入って仕事をまわしてくれるような行為に対する支出を指すわけです。
 このように広く定義すると、情報提供料も特定の相手方に支出し、かつ相手の歓心をかうような行為と言えなくもない、というわけです。
 そこで税制上は、下記3つの要件をすべて満たしている場合は、情報提供料として全額損金にしていい、裏を返せば、これらの要件を1つでも満たさなければ、交際費と判断するというルールを作っています。(租税特別措置法関係通達61の4(1)-8)

(1) その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。

(2) 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。

(3) その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。


 さて、いかがでしょうか。実務の現場では、支払う相手方と締結した「契約書がない」、何に対する情報提供料なのか説明できる状態にない、などの問題が生じている場合が多いのです。

 情報提供料は、ビジネスで必要であることを考えると、経費(損金)になって当然かと考えがちです。

 しかし上記の要件を満たさないために、税務調査で交際費と指摘されるケースが多いのです。

 契約書を準備するなど、事前に準備をすべきこともあるのです。

投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL

2015年4月10日 金曜日

推計課税とは?

お疲れ様です。熊野でございます。

本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第65弾」として、

「推計課税とは?!」

をお送りいたします。


税務調査を受けていると、困った状況になることがあります。調査官に質問されたので、回答しようと思い、明細などの資料を探してみると、その資料が無いような場合です。

 何も悪気があって資料を捨てたわけではないにせよ、資料などがなければ答えようもないわけですし、これでは税務調査自体も進まないわけです。

 さて、このように資料などがないケースでは、税務調査はどうなるのか、ということが問題になります。こういうケースに備えて、法律では「推計課税」という制度があります。

 推計課税とは、資料などがない場合に、何か特定の金額・割合から、まさしく推計で税額を算出する方法のことです。
 そもそも推計課税とは、
・悪意があって資料等を破棄した者にも課税できるようにするため
・悪意はないにしろ、資料等がない場合に正しい税額を算出するため
に設けられている制度だといえます。

 しかし、税務調査の現場では、調査官が無理でも推計課税を使って課税しようとするケースがあるので注意が必要です。

 たとえば、飲食店を3店舗営む会社で考えてみましょう。飲食店の場合、業種が異ならない限り、店舗ごとの粗利率(粗利益÷売上)が大きく異なることはありません。しかし現実には、顧客層が違う、割引券を発行しているなど、店舗ごとの粗利率がかい離することもあるわけです。

調査官は「店舗ごとの粗利率が大きく異なることはない」という点に着目し、「なぜこれほど店舗ごとに粗利率が違うのですか?」「粗利率が低い店舗で売上を除外しているのではないですか?」「原価を水増ししているのではないですか?」と疑ってくるわけです。

しかしこの指摘に、調査官も何か決定的な証拠があるわけではなく、あくまでも数字と理論上から疑っているにすぎません。
このようなケースで、調査官が「粗利率が店舗ごとにこれほど違うのはおかしい!適正な粗利率を算出して、全店舗それに合わせてください」などと、推計課税を強要してくることもあるのです。

推計課税はどんな場合でも適用できるものではなく、要件が3つあります。すべての要件が揃っていなければ、推計課税はできないのです。

①内国法人(居住者)が対象であること ②更正(決定)する場合にだけできる
③青色申告者にはできない
ですから、青色申告をしている会社が、調査官の指摘に従って、推計課税を根拠とした修正申告を提出する必要などないのです。

この要件はぜひ知っておいてもらいたいものです。

投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL

2015年4月 9日 木曜日

税務調査の前にやるべきこと!!

お疲れ様です。熊野でございます。

本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第64弾」として、

「税務調査の前にやるべきこと!!」

をお送りいたします。


税務調査は通常、1~2週間前に税務署から事前連絡があります。税務調査をいつにするのか、日程調整して決めるわけですが、この事前連絡から税務調査の当日までにすべきことがあります。

 まず、税務調査で誤りなどが見つかり、修正申告した場合を説明しておきましょう。

 当初の申告で100の税金を申告していた会社が、税務調査において正しい税金の額が150になったとします。この差額の50を「本税」と呼びます。

 しかし、税務調査で50を支払えば済むわけではありません。少ない税額で申告していたわけですから、遅れて納付したことに対する利息がつきます。これを「延滞税」と呼びます。延滞税は年率14.6%をベースにして計算されます。

 さらに、です。本税50に対して一定率の罰金が課されます。これを「加算税」と呼んでいます。加算税は、通常10%(過少申告加算税)なのですが、会社が不正行為などをして税金をごまかしていた場合には35%(重加算税)の罰金になります。

 これら「本税+延滞税+加算税」を合計した金額を追徴税額と呼んでおり、これを修正申告した日に納めなければならないのです。

 しかし、これには例外が1つだけあります。それは、「自分で誤りに気付いて、自分で修正申告したら、加算税が課されない」というものです。

 つまり、税務調査で指摘されたから罰金が課されるのであって、自ら誤りを認めたものには罰金を課す必要がない、という趣旨なのです。


 話を戻すと、事前連絡から税務調査の当日までにすべきことは、この例外を利用することです。つまり、税務調査の当日までに、税務申告書を見直して、誤りなどがないかどうかをチェックすることが重要なのです。

 この事前チェックで、もし誤りが見つかっても、税務調査の当日までに自ら修正申告をすれば、罰金である加算税がかからないのです。

 加算税が10%であれば、それほど痛みは感じないかもしれません。しかし、会社内で誰かが不正などをしていた場合、35%もの重加算税がかかってくるのです。さらにです。実は重加算税になる場合、延滞税も高くなるという規定があります。

 税務調査の前に税務申告書を見直しておいて、誤りがなければそれでいいわけです。しかし、誤りがあったとすると、事前チェックをしておくだけで、最低でも本税の10%、高ければ50%程度の余計な追徴税額を減らすことができるのです。

 この制度は知らない人が多いので、ぜひ活用していただきたいと思います。

投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL

2015年4月 1日 水曜日

重加算税にも理由が!!

お疲れ様です。熊野でございます。

本日は、「会社経営者が知っておくべき税務調査の知識_第63弾」として、

「重加算税にも理由が!!」

をお送りいたします。


前回解説した「理由の附記」ですが、実は更正(処分)の場合にのみ必要とされたわけではありません。あくまでも、「納税者にとって不利益な処分にはすべて理由の附記が必要」とされたわけです。

 では、税務調査において更正以外に不利益な処分とは何があるでしょうか。いくつか考えられるのですが、もっとも不利益になるのは「重加算税」でしょう。

 通常、税務調査で否認されると、本税(本来払うべきであった税額の不足分)に過少申告加算税10%が上乗せされるのですが、重加算税になると35%もの上乗せになります。

 さらに、重加算税になると延滞税(利息分)の計算も高くなりますので、まさにダブルパンチとなるわけです。

 重加算税の要件は、簡単にいうと「仮装または隠ぺい」していたことです。「仮装または隠ぺい」とは、たとえばこのような行為です。

「隠ぺい」:二重帳簿の作成・売上除外・架空仕入・架空経費・棚卸資産の除外・雑収入の除外等
「仮装」:取引上の架空名義の使用・通謀虚偽表示(民法94条1項)・虚偽答弁等

 簡単にいえば、税金をごまかそうと悪いことをしていれば重加算税が課されるというわけですが、実態はそうではありません。

 法人への税務調査が行われた件数のうち、20%に重加算税が課されています。20%もの法人が「仮装または隠ぺい」行為をしていたとは到底考えられません。

修正申告を提出したことで税務調査が終わって、後日税務署からの通知を見てみると、なんと重加算税の通知だったという話もあるくらいです。

 重加算税も税務署からの「処分」にあたります。つまり、今までは、重加算税の処分をする場合、税務署からその理由などを提示する必要がなかったのです。そのため、「仮装または隠ぺい」などしていなかったとしても、税務調査で重加算税を課されるケースが多くあったのです。

 すべての処分に理由の附記が必要になったことにより、重加算税の処分をする場合にも、通知書に理由を載せる必要が生じました。

 これによって、今まで曖昧な基準で処分されていた重加算税も、今後は税務署も理由の附記が必要ですから、安易な処分はしてこないはずです。

「理由の附記」とは、納税者によって非常に有利な法改正だったのです。ぜひ覚えておいていただきたい制度です。

投稿者 熊野雅樹税理士事務所 | 記事URL


大きな地図で見る

【住所】
〒598-0007 
泉佐野市上町1丁目3番4号コートサイドビル202号

【最寄り駅】
南海本線泉佐野駅から徒歩8分

【営業時間】
平日(月~金) AM9:00~PM18:00

お問い合わせ 詳しくはこちら